平成24年は壬辰(みずのえたつ)で木運大過(もくうんたいか)の年廻りです。木運大過の年は陽気が発して生じる「発生の年」と云います。この年は木の気が旺盛になり、芽吹きは良いのですが夏の土用の成長作用が不足して実りが悪く、食欲が衰え消化不良をおこしたりします。
長い冬を土中で過ごした種子たちが、地上に芽を出し伸びてくる、芽吹きの季節です。此の「春には芽が出る植物を食べる」事が春の食養生の基本になります。特に「一物全体」と云って総てを丸ごと食べる事が良い方法なのです。
例えば、大豆が発芽した豆モヤシは、ひげ根から豆まで全体を食べる事で、根の部分の成長点と芽の部分の成長点の全てが栄養として取りこまれるからです。
豆モヤシは、種に蓄えられたデンプンや脂肪、タンパク質など潜在的な栄養素が加水分解されモヤシになる段階でエネルギーを放出しながら細胞や組織を作って成長して行きます。さらに発芽というメカニズムには、図り知れない、複雑で神秘的な反応が起こっております。発芽によって合成される栄養素で最も増加するものは、ビタミンと遊離アミノ酸です。
ビタミンC、アスパラギン酸、γアミノ酪酸(GABA)は豆の状態ではほんのわずかな量しかないのに、モヤシになると一気に増加します。その他カリウムやビタミンA等も多く含まれます。モヤシは安く手軽に入手できるので発芽野菜の王様です。
同じくエンドウ豆を発芽させた「豆苗」もモヤシと並ぶ発芽野菜でβカロテンやビタミンE・ビタミンK・ビタミンCや葉酸などを豊富に含み、ホウレンソウ・小松菜などを上回ります。
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