第24話 コレステロールの薬で筋肉が溶けてゆく恐怖

   
         

スタチン系コレステロール薬の副作用
 コレステロールや中性脂肪が高い高脂血症などで、内科医を受診すると、いとも簡単にビタミン剤を処方するように、スタチン系と呼ばれる「メバロチン」「リポバス」などのコレステロール低下薬の処方箋が交付されます。これを近くの薬局へ持って行って薬を受け取るのですが、実は困った副作用を抱えているのです。全く副作用が無いと云う薬は皆無であり、いずれも何らかの副作用を抱えているのが現実です。

 

 私が問題視しているのが「横紋筋融解症」と呼ばれる、横紋筋=骨格筋が、溶けてゆくという奇妙な副作用です。製薬会社の記載文書の副作用欄などには、まれに(0.1%未満)1000人に1人以下の割合で発現します。となっております。薬の副作用の発現割合は、使用者すべてを対象として計算された割合では無いので、実際の所、薬の副作用の発現割合は正確には判っておりません。1000人に一人が副作用の被害に遭うのだから、999人には問題が起きないのだから大丈夫ですよ、と云う理屈でこれらの薬が大量に医療の現場で使われております。ましてや「後発品」と呼ばれる別名称のクスリの製造会社はそのようなデータは先発メーカーのデータの流用ですから、実態は全く把握しておりませんし、やろうともしません。
 実際、私は今まで7年間で、「メバロチン」による横紋筋融解症の人を3名、「リポバス」による横紋筋融解症の人を1名発見して対処してきました。
 この副作用の症状は、長期服薬中に徐々に進行している場合が多く、患者さんも家族も主治医も気がつかないケースが多いからです。足腰に力が入らなくなり、腰が痛むので整形外科へ行けば、解熱鎮痛剤の「ロキソニン」や「ボルタレン」などが処方され、飲み続ければ低体温になってしまいます。脇や胸などが痛むようになれば、心筋にまでダメージを与えているかもしれません。心臓の筋肉は横紋筋=骨格筋なので、心筋が弱くなれば不整脈や心筋の痛みなどが出てきます。そうすると今度は心臓内科へ掛かりますから、抗血栓凝固薬の「ワーファリン」や「バイアスピリン」などが処方されたりします。巷では良く「血液サラサラの薬」ともてはやされておりますが、血小板の凝集を抑制して血栓が出来るのを防止するのですから、当然のことながら「出血が止まらなくなってしまう」のです。よく鼻血が出て、豚レバーの様な暗赤色のドロドロした血が手のひらいっぱい出て、不安になる。と云う人がおりますが、鼻血ですめば命は助かるのです。これがもし、脳内の血管が切れたなら、一発で昇天です。でも、患者さん本人も家族も周囲が誰も本当の原因を判らずに闇から闇へと事態が進行して行くのかもしれません。
 異常を感じて患者さんが、医者に申し出ても「そんなはずはない」と一蹴されてしまったり、医療機関の傍にある調剤薬局の薬剤師に訊ねても「先生が処方した薬で、とても良い薬だから安心して毎日欠かさず服用して下さいね」と言いくるめられてしまうかです。やはり第三者的なセカンドオピニオンの専門の薬剤師に相談をする事です。
 横紋筋が融解するので、あちこちの筋肉の痛み、重だるさ、脱力感の他に、ミオグロビン尿と云うピンク色の尿が出たり、血液検査でCK(クレアチン・キナーゼ)やCPK(クレアチン・ホスホ・キナーゼ)が上昇したり、更に詳しく、CKのMM型(骨格筋)CKのBB型(脳)CKのMB型(心筋)と調べることが出来ます。心筋までやられてしまうと何の為にコレステロール低下剤なのかと考えてしまいますね。
 私が対処したケースは、60歳代の女性の電話相談で「腰が抜けるように重だるくて、お茶碗を落としてしまうんです。それとピンク色のオシッコが出て何だか気持ち悪いんです」とのお尋ねに、私が、「現在服用している薬の名前を全部言って下さい」と訊き出すと「コレステロールを下げるピンク色の薬だけです」と答えるので、私が「たぶんメバロチンと書いてないでしょうか?」と尋ねると、「薬のミミにそう書いてあります」と答えたので、この方は遠い親戚でしたので、「すぐにピンク色の薬を飲むのを止めて下さい」と伝えて、2〜3日後に症状が収まったとの報告がありました。もう一人は65歳の男性で大工さんです。普段から力仕事で30kg以上ある重たいセメント袋を持ち上げたりしてます。総合病院に掛かっていてコレステロールの薬を服用中です。この方が来店され、腰が痛いし全身の筋肉が痛むので、整形外科へ行ったら痛み止めと胃薬が出たとの話です。この方の話では、最近、重いものが持てなくなって、茶碗を持つのも重だるいし、身体がきついし腕が痩せてきたとの事です。両腕を出して見せてもらうと、二の腕の筋肉がげっそりこけています。見る限り異常な感じでただ事ではありません。クスリを見せてもらうと「メバロチン」です。この方が受診された病院は「院外処方箋」を発行していないし、「お薬手帳」も無いので、コミュニケーションが取り難いので、患者さんの口から主治医に「筋肉が溶けてきた」と報告して処方を変更して貰える様にして下さい。と伝えましたが、主治医は「そんなはずはない」と全く取り合ってくれず、翌月も同じように言ったのですが、頑として聞き入れてくれず、3か月目に又同様に言ったところ、「じゃぁ止めましょう」と言ってカルテに大きくバッテンを書いてやっと中止になりました。
もう一人は、59歳の女性で、更年期が来てから、徐々に体調が変化してきて、コレステロール値が高くなってきました。近所の内科を受診して「リポバス」を投与されました。1年ぐらい服用してから、何となくあちこちの痛みと身体のダルさが気になりだしました。この方はやせ形で筋肉量を少なく、アレルギー体質など、クスリに敏感な方です。腰の痛みの他に脇の痛みや胸の痛み、肩の痛み、眼の奥の痛み、頭痛などが最近酷くなってきました。この方は、どうも何かおかしいぞと、直観的にクスリの副作用を疑ったので、試しに1日だけ服用を止めてみました。すると痛みが、ウソのように感じません。また服用を開始すると痛みが出始め、止めると収まります。それでこの方は診療機関を替えて、副作用の出ないコレステロール用のサプリを使う事にしました。
 スタチン系の副作用の痛みと赤色尿は、服用を中止すればピタリと収まります。中止して収まらない痛みがあれば原因は別にあります。
 コレステロール薬で横紋筋融解症になって、心臓の筋肉までダメージを受けたら、本末転倒です。
 肝腎な事は、如何に副作用のリスクを回避して、コレステロールや中性脂肪を正常値でコントロールできて「元気で長生き」するかです。
 「医者がくれるから飲んでいるんだ」など他人まかせな事を言わずに、 もし皆さんがこの薬を長く服用しているのなら、この薬の効果(ベネフィット)と副作用(リスク)両面から考えて判断してみて下さい。
クスリの事や健康の事で心配な事があれば、何でも「クスリの専門家、薬剤師」に相談して下さい。

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