■脳卒中予防のために私たちができること

脳卒中の危険因子の中で、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満の4つは互いに絡み合って動脈硬化を進行させることから、「死の四重奏」と呼ばれています。
これらが単独で発症した場合でも、動脈硬化の発症率は5〜6倍になり、4つの条件がそろっている場合、発症率は35倍にも高まるといわれています。

 ■生活習慣と「死の四重奏」

塩分の取り過ぎ
塩分を取り過ぎると、血管中のナトリウム排泄機能であるナトリウムポンプが詰まり、血中塩分濃度が高くなります。濃度を薄めるために血管内に多量の水分を取り込むので、血液量が増加し血管に圧力がかかり、血管壁が厚くなります

糖分の取り過ぎ
血管中の糖分が過剰となり、糖とタンパクが結合する「グリケーション」という反応がおこり、血管細胞を固めてしまいます。




 

動物性脂肪の取過ぎ
血液中は脂肪過剰の状態となり、粘度が上昇します。








活性酸素
活性酸素は呼吸してる限り必ず体内に発生しており、これは動脈硬化の原因になる「酸化LDL」を作ります。そして、血管壁を傷つけ、カルシウムを沈着させます。この結果、カルシウムが結晶化し、血管は石灰化してしまいます。

ストレス
ストレスは活性酸素をさらに大量発生させるとともに、急激な血圧の上昇を引き起こします。なかでも急激なストレスが最も危険で、便秘、上司に怒られる、湯冷めなどでも血圧はすぐ上昇します。

        
 ■日常生活での具体的注意点
血圧など基礎疾患の管理

寒さと急激な温度変化に注意
 寒い時期の発症率は、暑い時期の約1.5倍になります。対策として夜間のトイレは丹前やガウンを着る、トイレの保温、朝の洗顔はお湯を使う、入浴の脱衣は暖かい部屋で、血圧の高い人は1番風呂は避ける(浴室が暖まっていないので体が冷える)、薄着で急に寒い所に出ない、などが挙げられます。

過度のストレスを避ける くよくよしない、気分転換

過労に注意 睡眠不足、深酒もよくない

排便のコントロール
 便秘しないように、繊維の多い食物を摂取する。排便時にりきむと血圧が上昇し、発作が怒ります。特にクモ膜下出血の20%は用便中に起きています。

食生活のアンバランスに注意 塩分の取り過ぎ、栄養素の偏り

年に1回は健康診断を受ける
 血圧、検尿(腎臓病・糖尿病)、心電図、眼底(動脈硬化の進み具合)、血液(コレステロール・中性脂肪・尿酸・血糖)、体重、問診。
 ■あなたの危険度チェック(チェックしたいボタンをクリックしてください)

 ■運動が脳卒中を予防する
欧米においては近年、男女を問わず運動を含む身体活動と脳卒中のリスクの間には統計的に有意な負の相関関係があるとする報告が増えています。運動は血小板凝集能を低下させ、インスリンの感受性を高め、体重を減少し、HDLやコレステロールを増やし、血圧を下げる効果があります。
 ■ストレスと脳卒中(抑うつ状態は脳卒中のリスクを上昇させる)

重度の抑うつ状態は、脳卒中のリスクファクターである高血圧を起こす危険度の高いことが報告されています。抑うつ状態は初回の脳卒中を引き起こすリスクを男性で56%、女性では85%上昇させることがわかりました。しかしながら、抑うつ状態が脳卒中のリスクを上昇させる機序は明らかにされておらず、さらなる検討が必要とされています。